第582話 “ルフィとエース”

『エースの夢』


■ゴールデンウィークのご挨拶

4月29日と5月4日にイベントに参加しましたので
その時に話したことから書きます。

男性のワンピファンの方はとにかく肯定的で希望あふれる感想を述べられました。

「エースは幸せだった。夢を叶えた最期だった。
 ルフィは経験をしたことのない“肉親の死”を乗り越えてますます強くなる。
 ジンベエがきっと体術を教えてくれる。
 遠くに飛ばされた仲間もますます強くなってルフィの仲間になる。」

言われることは全て納得のいくものなんですが
「ちょっと待って下さい。私まだエースの死を直視できないんですよ…。」と
弱気な空気を漂わせてしまって、希望的展望の話を広げられずにいました。すいません。
その節はありがとうございました!(ここは明るく)

女性のワンピファンとは湿っぽい感情を共有。

「エースが死ぬなんて、展開が早すぎる。白ひげより先に去るなんて。
だからと言って生き返るのはあり得ないけど
あれだけルフィが奇跡の復活をしてるのに
内臓焼かれたくらいで何よ!」

と、およそ理論的とは言えない感情論で互いの傷を舐め合い大会開催。

ともかく、イベントはとても楽しいものでした。ありがとうございました。

さて、私はジャンプの感想更新が遅くて
次のジャンプが出る直前に更新するのも珍しくないのですが
余所さんの感想を読んでから自分の感想を書きます。
できれば人と違った事を書きたいと思うからなんですが
たいてい「後出しジャンケン」みたいなことになってます。

ヤマカムさんで「ルフィは着替えてるのにエースは山下清」という記事があったので
若竹ではその答をさがすべく考察していこうと思います。

考察は長くなるので結論から言いますけれども
「ルフィはガープの孫としてフーシャ村で育てられたのに対し
エースはコルボ山で隠されて育てられたから。」
です。

■フーシャ村のある島

この絵は第1話のページ目です。

こんな辺境の村に四皇の船が1年も停泊していた、という今なら感じる大きな物語の一部です。

アラバスタにアルバーナ、レインベース、ユバという地名があったのと同様にフーシャ村も、ある大きな国の一部であるという現実が浮かび上がる今日この頃です。

次に、この都会的な街並。

フーシャ村とはかけはなれていますが、これも同じ国というか島の中の一部のようです。

なぜかエースは遠くの“町”まで行ってロジャーの評判を聞いてまわります。

そして、この海が一望できる、エースにとって安らげる場所まで戻って1人で時間を過ごすのです。

この地点を便宜上「思い出岬」と名付けます。

その度に、ダダンはエースを叱ります。

少しずつエースの背中が大きくなっていきます。

こちらは0巻です。

ガープがエースに会いに行くのに「山へ行く」と行き先をぼかして言ってることがわかります。
ガープがエースを預かり、ダダンに育てさせていることは、フーシャ村の村民には知らせていないことがわかります。

これがコルボ山のダダン達の家です。

景色をよく見て下さい。椰子の木があって可愛らしい花が咲いています。
温かそうな気候は、エースの生まれた場所と似ています。(56巻551話を各自確認して下さい)

コルボ山はきっと南の方にあるんだね!

フーシャ村のある島の地図を想像して書いてみました。きっと尾田先生の頭の中には地図ができあがってるんだと思います。

(※淡路島は関係ありません)

島の中心に“町”があって、大きな港もあるんだと思います。島の裏手にも小さな港があって、漁業と酪農の盛んな村です。
「ようこそ!風車の村、フーシャ村へ!」という“道の駅”があります。

島の南端にコルボ山という大きな山があり珍しい花が咲いています。山を越すと最南端の思い出岬に到達します。

■フーシャ村で育ったルフィの17年



ルフィの生い立ちを考えます。

ルフィは自分の父親の存在を全く知らずに育ちました。どこで生まれたかは定かではありませんが、とにかくルフィはフーシャ村で育ちました。

ガープがダダンにルフィを預ける前にも、ガープ自身でルフィを鍛えた過去が明るみになっています。

ルフィは10才になるまでフーシャ村でガープのもとで育ったのに対し、エースは生まれてすぐにダダンの所に預けられています。

海賊にも寛大なフーシャ村で、ルフィが村民と明るく暮らす様子が垣間見れます。

大海賊のシャンクスとも仲良くなり、麦わら帽子を預かります。

その後、ダダンの所でエースと一緒に暮らすようになるルフィですが
服を着替えていたり、とフーシャ村に定期的に戻っていることがわかります。

海賊として旅立つ時も、村民の見送りがありました。

ルフィがフーシャ村で17年間過ごしたと言える場面だと思います。

エースは17年間をコルボ山で過ごし、自分の父親の名前を口にすることも許されず
「恨み」だけを胸に抱いて育っています。

一方、ルフィは父親が大犯罪人だとは知らずに
英雄ガープの孫として、フーシャ村でのびやかに育ちます。

■エースの17年間

出た。思い出岬。

自分にとって唯一の家族が海賊王で大犯罪者。

家族とはどいういう物なのか、自分は生まれてきて良かったのか、思いを巡らした悲しい岬です。

悪魔の実を食べる前からルフィよりもずっと強かった、と語るルフィの誇らしそうな顔。

エースの父親の話題は兄弟ゲンカのネタになっていた様子。それでも、明るく話題にできていた仲睦まじい様子が想像できます。

しかし、ここで注目すべきは「これ内緒だった」というセリフです。

ルフィといい、ガープといい、超重要機密をぽろっとこぼす点が不安です。
そんなルフィとガープがエースのことをフーシャ村で隠し通すことができていたのでしょうか???

ルフィという家族ができたエースにとって、哀しみを慰めるための思い出岬が誓いの岬に変わった瞬間だと思います。

■フーシャ村の村長

村長の歴史を見て行きましょう。

とにかく!

海賊!ダメ!絶対!


「海賊は村の恥!」は相変わらずですが、ルフィが海賊になるのに「運命」が絡んでいると匂わすため息です。

ルフィの因縁を知っているからこそ海賊に反対なのでしょうか。それとも村長として純粋に「犯罪!ダメ!」という綺麗好きな考えなんでしょうか。

村長の相変わらずの言い分を笑顔で聞き流すまきのさんのキャラクターにぼちぼち注目がいくところ。

「ほんとね」

さすが「パーティーズバー」を1人できりもりしてきただけのことはあります。

ガープ、ドラゴン、ダダンのことを知っているという注目すべき発言です。

しかし、村長がエースのことを知っているかどうかはハッキリしません。

■エースの夢

フーシャ村の村長は海賊を否定していますが、ルフィを嫌うという訳ではなく
1人の村民として愛しているようです。
村民達は明るく、ルフィの賞金額が上がったことを祝って乾杯しています。
こんなに温かい故郷があります。

一方、エースは山奥で身を隠しながら育ちます。

エースが海に出た理由は、白ひげと同じなのではないでしょうか。





エースの夢は果たされたのだと思います。



エースは家族を得て、
また周囲もエースを家族と思い
エースを救うために命を放り出す仲間が見守る中で
エースは夢を、人生を全うしたんです。

エースにとって最高の幸せを
読者も喜びを持って祝福しないといけないのかもしれません。



2010/5/4

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