第577話 “畳み掛ける大事件”
『黒ひげがみた未来』
■死者に鞭打つ
黒ひげの不思議ボディの説明がありました。
悪魔の実の能力を二つ所有することが可能なんですって。
長らくひっかかっていた「人の倍」という疑問点をマルコの「“異形”」というセリフであっさりと片付けられてしまいました。
もうこれ以上の不思議ボディの説明はないのかしら。
結局、よくわからないまま黒ひげに対する“得体の知れない”恐ろしさが増幅するだけとなりました。
海賊旗の意味もよくわかりません。
(ずっと前にヤマカムさんで取り上げられてましたが、結論は出てませんでした。)
頭が三つといっても
よもやバスカビルと関係があるとは思えませんが。
海賊旗というと、たいていドクロは一つだけが掲げられています。
複数のドクロを掲げる黒ひげ海賊団は特殊と言えますよね。
「あいつじゃねぇ、あいつらだ」というセリフも、今読み返すと意味深に思えてきます。
黒ひげの中にある複数の肉体を感じ取っていたとか?
他の海賊団と異なる点というと、黒ひげは自ら「黒ひげ」と
名乗っているということ。
「黒ひげ」と名乗る割には、それほど髭が立派だとは思えません。
この「黒ひげ」という異名は白ひげやロジャーに対する挑発から
生まれたもののような気がします。
これは0巻でのロジャーの姿。
せめて、このくらいの髭がないと「黒ひげ」という呼び名は出てこないと思います。帽子には髭をモチーフにしたドクロが描かれています。
ルーキーが自ら「黒ひげ」と名乗るのは、かなり挑戦的な態度だと思います。
ちなみに、こちらは3巻で登場したロジャーの船。
もの凄くテキトーに海賊旗が描かれています。
まだ、当時はロジャーの海賊旗のデザインが定まってなかったのかな?
■それぞれの新時代
白ひげの時代が終わったことで、大きな転換点を迎えます。
シャンクスの言葉で言うなら「荒れる」ことになりそうです。
いち早く「新時代」を意識していたのはドフラミンゴと、その配下の者達でした。
黄金郷もワンピースも実在するという信憑性を得て、きっとエメラルドの都もあるんだろうと思うのです。
それらを否定する世論(という言い方が適当かどうかわからないけど)を作ることで、都合の悪いことを隠そうとしている大きな組織の存在が伺えます。まぁ世界政府なんでしょうけど。
ご丁寧に「うそつきノーランド」という絵本を使って子供の頃から教育していたという狡獪さ。
“人の夢は終わらねぇ!!”と見開き2ページを使って断言した黒ひげが見据える新時代とはどんなものでしょう?
世界政府の禁忌を悉く打ち破る力には圧倒されますが、いまだなお彼の“信念”が見えてきません。
黒ひげが圧倒的な力を持ったとしても、ロジャーが待ち望んだ「Dの男」ではない、と白ひげが見極めています。
果たして黒ひげに足りない物とは何でしょうか?
私はシャッキーの「情報は武器よ」というセリフが大好きです。
全くその通りだと思うのです。
なので、そういう視点で新時代について考えようと思います。
これまでの時代は“力”で制圧する時代だったんじゃないかと思います。
これからの時代は“情報”によって力を操作できる時代になるんじゃないかと想像します。
それを見越したドフラミンゴは情報を先読み・操作することで
大きな富や力を得ようとしているのではないか、と考えます。
一方、黒ひげの情報収集力も計画の実行力も素晴らしいですが
「力が全て」という前提が古くさいのではないでしょうか。
彼の計画は、ロジャーが存命の時代から入念に練られた物。
彼の計画が遂行される頃には世の構成がすっかり変わってしまっていた…
なんてことになりそうな気もします。
そしてルフィやロジャーが目指した「自由であること」。
情報は強みだけれど、利用しようとすれば、自由意志の障害にもなるのかもしれません。
自分で判断できないのなら、情報なんて無い方がましな場合もあるかもしれません。
最後に信用できるのは、己の正義のみ!
果たして新時代の新世界では
何を指針とするべきなのか!
■黒ひげが代弁するもの
間違いなくキーパーソンとなる黒ひげですが、格好良いとは思えなくて「不気味」とか「得体の知れない」という印象がぬぐえません。
彼のセリフも、言葉の意味はわかるのだけれど、心の底から同意!!って感じで熱くなれません。
ジャヤで会った時も
良さげなセリフを吐いているにも関わらず
ルフィやゾロは知らん顔で通り過ぎています。
その割にはすごく重要っぽくセリフが取り上げられていて
全体の流れから見ると少し違和感が残ったんです。
黒ひげのセリフって何か意味が込められているのかしら?と
考え込んで、私なりの結論を出したことがあります。(まだ若かったあの頃)
「黒ひげのセリフって、尾田先生の黒い本音じゃないの?」
私の若かった頃の考えを説明すると
空島編に入った頃から、読者が急速に離れていったような気がするんです。
確かに登場人物がたくさん出たり、内容が複雑になったりで
週間で読んでて退屈と思える時間がありました。
長期連載を見据えて、「ワンピースが面白くなくなった」という
意見が多数出ることに対する尾田先生の「決意」みたいな
気持ちが黒ひげのセリフに込められているんじゃないのかな?
とか考えたんですよ。だって私、若かったんですもの。
もちろん今でも若いですけど。
だから、尾田先生が読者に言いたい黒い本音がコレなんじゃないかな?
今よりもっと儲けさせてやっからオレの言う通りにしとけって>集英社
みたいな。
単行本に11話詰め込みやがれ
みたいな。
2010/3/20
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