第590話 “弟よ”

『長い寄り道』


■扉絵感想を避けられない

今週の扉絵は私にとって衝撃というかショックのレベル。
だって素でミホーク様と崇めているのに!神々しい存在なのに!庶民感覚ノーサンキュー!
なにこれ?夢?妄想が見せた超リアルなファンタジーで処理していいの?
そりゃあ私の脳内ではミホーク様は天然お茶目さんで性別は“受”ですよ!
(厳密に言うとミホゾロでシャンミホ)

そんな私の薄汚れた本音は置いといて!

でも、公式のゆったりと堂々としたミホーク様のイメージがガラガラと音を立てて
崩れていく〜〜。

もう、Tシャツとかいう時点で昼夜逆転のチャンス。比喩が全く意味を成さないほど。
だって、ミホークっていつもは裸に学ラン、じゃなくて裸にラテン風黒コートでしょ!
長い黒刀を自由自在に携えることのできる魔法の黒コートとハリー・ポッター!
黒コートを脱いだミホークなんて翼の折れたエンジェルだよ!あいつも〜翼の折れたエンジェル〜
きっと飛べないエンージェール♪

なに、このだらけた私服。緊張感の無い休日。パパか?子供ができてファミリーカーに変えたってか?
ダメだよ!一人ぼっちでロウソクの灯りで航海してた世界一が休日のパパになっちゃダメでしょ!
ハァ…ハァ…(※息継ぎ)

で、その果物ナイフ?
あれ?
これ、凄く見覚えのあるナイフ。
「あいにくコレしか持ち合わせてないのでな」ナイフ。
これしか持ち合わせてないんじゃなくて、いつも肌身離さず持ってる「マイ箸」的な?
エコロジカルマインド?使い捨てはモッタイナイ精神の孤高の大剣豪?
サバイバルナイフということなのかな。言い直してもカッコワルイよ。

ハァーーーーー(深いため息)

どうしちゃったんだろう。ミホーク様、人が変わっちゃったのかな。

そしてやっぱり最も気になるのは、この扉絵の物語がいつの時点のものなのかってこと!

戦争後の可能性も感じてたけど、ジンベエが登場してるってことは
戦争よりもずっと前ってことなのかなー。なんか、そういうの、どうでも良い気もするけど
この際、ミホーク様の休日のエンジョイプレイを掘り下げていこうと覚悟も決まりました。

ええと、たこ焼きを食べてますよね。

ワンピースではたこ焼きがよく登場しますよね。尾田先生の好物なのかな?
サンジも「いまだかつてないたこ焼き」を作ってましたし
ハッチャンもたこ焼き屋になりました。子供の頃からたこ焼き屋になりたかったんですって。
タコの魚人のくせに…。

ジンベエとミホークは友人関係だってことなのかな。一緒にたこ焼きを食べてるなんて。
たこ焼きは舟とか箱とか皿に入ってないで紙で受けてるけど
こういう食べ方する地方があるのかな?
それとも、きちんと「1人分」として分けられてないのを無理矢理人数分に分けたのかな。
だから爪楊枝が足りなくてミホークのマイナイフ登場とか?

あと、ここがどこなのか気になる。
ジンベエとミホークと巨大タコのいる所…。
魚人島なのかなぁ…。

そうか「たこ焼きテーマパーク」かな。

たこ焼きといえば大阪でしょ。
で、USJでワンピースのプレミアショーが公演される記念として
「ユニバーサルたこ焼きジャパン」を描いたとか。

で、そこで売ってる「たこ焼き浴衣」とか「たこ焼きTシャツ」をハッスルして着ている七武海の2人・・・・・。

どう転んでもやっぱりこれは現実の物ではないみたい。

そう、これは夢・・・。
猫舌の魚人も夢の中だけの物ですよ。きっとね…。

■叱咤激励

今週の内容は泣けるポイントが3つくらいありましたね。
いや、4つ?5つくらいあったかな。扉絵も入れたら7つくらい?

エースの死については、私はまだ受け入れられてなくて
またどこかで会えるんじゃないかな、と思ってないと前に進めないんです。
その点、ルフィはちゃんと現実を見てるんだなーって思います。
ルフィは仲間と離ればなれになった時も自分の弱さに号泣してましたが
兄をも失って、絶望に苛(さいな)まれてしまいます。

そんなルフィを想う人がそれぞれに言葉をかけます。
近くから、遠くから…。

エースを失った苦しみを体で実感しているダダンはただひたすら「頑張れ」と単純な言葉を叫びます。
ダダンの叫びこそが「肉親」と言える者の言葉のような気がします。
気の利いた事なんて言える訳がないんですよね。

ダダンの怒りを受け止めようとするガープや
ガープの辛さも理解するマキノ…
それぞれの優しさに涙がこぼれます。

シャンクスはエースやルフィに思う事がたくさんあるようです。
シャンクスは励ますとか慰めるという気持ちにとどまらず
更なるハードルを視野に入れた言葉を綴ります。
それこそが麦わら帽子を託した男の言葉です。

ルフィがこの苦難から脱出するためには、どんな助言が必要なんだろう…と
考えた時に、そばに居たのがジンベエという人徳者であることが
なんと幸運であろうと思います。

ジンベエの言葉には余計な物はなく、重く、的確です。
ざわざわと蠢くルフィの心に一つずつ針を刺していくかのように
冷静さを与えます。

少し話は逸れますが
ワンピースの読者には色んな年齢の人がいます。
少年期、青年期、中年期、壮年期…
それぞれにワンピースの見方が異なってくると思います。
感情移入するキャラクターの年齢が上がっていくんです。

ワンピースの面白さと問われて「夢、仲間」と答える人もいるでしょう
「魅力的なキャラクター」「受け継がれる意志」「曖昧な正義」「歴史や国防」など
人によって答は様々でしょう。

私はワンピース読者の中では年齢の高い方に属しているはずです。
もう自分のための夢を追いかける年齢ではなくなりました。
では、何が夢なのかというと、自分が経験して得た知識を後輩に託したい、とか
自分が理想とする社会になるように若い世代を導きたい、とか
そういう風にシフトしていきます。

だから私は落ち込んでいる若い人にどんな言葉をかけたらいいのか、と
今週のジンベエを見てはらわたが煮えたぎるようでした。
(まず正しい日本語を覚えよう)

ルフィに必要な物を完全に把握していること。
的確な言葉を選び出すだけの深い思考力があること。
そして、ルフィにとってジンベエが耳を貸すに値する人物であること。

今週のジンベエは、私のこれからの生きる指針になるのではないかと
思えるような偉大さでした。

どんなに的確な言葉を紡いでも
それが信頼できる人からの言葉でなければ意味がありません。
つまり、人を励ますためには、まず自分が信頼される人間にならないと
いけないということですよね。

まるでルフィの師匠じゃないですか!ジンベエ先生じゃないですか!

ジンベエがルフィを支えてくれて。
女ケ島では覇気の使い方を学んで。

さぁ、仲間と行こうじゃないか!

魚人島へ!



2010/7/8

Portrait.Of.Pirates ワンピースシリーズNEO-DX ジンベエ


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